多様な、多くの生き物たちが元気に暮らせる森作りを目指して！
我が家の森が最終的に目指すのは「針葉樹と広葉樹の混交林」です。
森は全体で2ha程ありますが、今回の対象となるのはそのうちの1.5ha位だと思います。
杉と檜の森です。
杉は40から45年生位、檜は26年生位です。
材木市場に出して売れる物は搬出して市場に出します。
残った部分は私が自力で山から出して薪や、小屋の材料にする予定です。
市場に出せずに切り捨てにする部分は私が自力で伐採して山から出す事にしています。
この間伐は「マルマタ林業」を中核とする林業団地を組んでの事業にしています。
本格的な間伐、搬出作業は奥江の山仕事の達人にお願いしました。
私は「出来る時に」手伝いました。
まだ途中ですが、その経過を報告します。
（１）間伐するにはまず、間伐する森の範囲を確定します。
森が成長してゆく間に間伐は何回か行いますが、今回の我が家の森の間伐は「仕上げ間伐」といって十分成長した森を最後に間伐するものです。この次はおそらく私達は生きていませんが残りの木を全部伐る「全伐」をして次の世代の森を作る事になります。それまでにこの森を広葉樹などが適度に茂る「混交林」に育てるのが私達の目標です。
（２）選木
次に、その範囲で間伐する木に目印を付けます。通常はピンクや白などのテープ（選木テープ）を幹に巻き付けます。
この時に、その森をどのような森にするかという森林所有者の「意思」「方針」が大切になります。補助金との関係では、間伐率20〜40%にする必要があります。
（３）作業道作り
森の中で作業をするのに使うパッカーと呼ぶ小型林内作業車が通れるように森の中に道を作ります。
今回出来る限り森を荒らさないように必要最小限にしてくれと頼みました。そのせいで、後で結構苦労を掛けてしまいました。
（４）伐倒（伐採）
間伐は倒す木が他の木に引っ掛かって倒れない、出すのに立木が邪魔になるなどの問題が多く、特に私の森のように急勾配で広い林道が作れず大型林業機械が入らない森ではかなりの技術と経験が必要な作業です。特に檜は枝が強いので少し他の木に引っ掛かっただけでも倒れてくれません。また、どの木から伐って行くのか、どの方向に倒すのかという事もただ倒れやすい方向に倒せば良いというのではなく、後の作業性や、出しの事など多くの事を勘案して判断する必要があります。
（５）枝払い
倒した木の枝を落とします。今回の間伐では、私は主にこの作業を担当しました。
（６）玉切り
倒した長い木を一定の長さに切る作業です。
市場に出すには3m、4m、6mという規格に揃えなければいけません。曲がり具合などを見て、倒した木のどの部分をどのように取るかと言う事は直接売値に影響するので、これも経験が必要です。
（７）出し
玉切りした木を「パッカー」と呼ぶウィンチが付いた小型林内作業車に乗せて運び出します。運び出した材木は「土場」と呼ぶ一時保管場所に積み上げておきます。
木は水に浮いて軽そうに思えますが人力では簡単には動かせません。ウィンチで引き上げるのですが、それにも、さらにそれをパッカーに乗せるのにもそれなりのコツがあります。今回はそのコツを目の当たりに見せて貰い、学ばせて頂きました。
（８）搬出
材木を運送する専門業者に依頼して、「土場」に森から出して積み上げてある材木を市場に運んで貰います。
（９）売却
木材市場で競りに掛けます。その時々の諸条件で売価は上下します。私達の場合、木材市場は一番近い由布市庄内町にある「伊万里木材」にしました。運搬賃も安くて済みます。
ここから先はややこしくて、それぞれのケースで異なります。私達の場合は森林組合に依頼したのではなく、個人の林業会社「マルマタ林業」と林業団地を組み、事務作業や測量作業などはこの会社に依頼しています。従って、この会社が売買を管理していて、木を伐って貰った伐り賃や市場へ材木を運んだ運賃はこの売却代金から支払われる事になっています。会社の手間賃も売価の10%が支払われます。従って、もし、売価が伐り賃や運賃、手間賃を合計したものより下回ると赤字になってしまいます。そこで補助金が登場する訳です。
不足の場合はこの補助金から支払われる事になります。
私達の手元に入って来るお金はさらにこの残りという事になる分けです。
林業経営で問題になっているのはこの事で、山（森）の持ち主にお金が入らなければ伐った後の手入れや植林に掛けるお金が無く、山が荒れる原因の一つになっている訳です。
さて、難しい話はここまでにして、間伐の様子を見て下さい。
森が綺麗に、心地よくなってゆきます
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小型のユンボでパッカーが通れるように大きな石をどけたり、土を均したり、斜面を削ったりして道を付けます。
どこにどう付けておけば全ての木を出せるのかという判断も経験が無いと出来ないものです。
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 木が倒れる瞬間は迫力があります |
 ワイヤーを張ってウィンチで倒します |
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 楔で倒す方向をコントロールします |
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伐倒、玉切り、出しなどは同じ奥江地区に住む山仕事の名人にお願いしました。
こういう方が身近に居るという事だけでも私達は恵まれています。
伐倒にも色々のテクニックがあります。簡単なものは教科書通りに受け口を切って、追い口を切り倒すのですが、そんなに簡単に倒せる木は殆どありません。「矢」と呼ぶ楔を打ち込んで倒す方向をコントロールしたり、ウィンチで引っ張ったりして倒します。
ウィンチのワイヤーを掛けるのにも色々な判断が必要です。低い位置で良い場合、梯子を使って高い位置に掛ける場合などありますし、どの木を支柱にして引っ張るかなども重要なポイントです。
名人の仕事ぶりを見ていると流れるように体が動いて無駄がありません。
私が次はこうだろうなと思って用意していると違う事が多々ありました。そんなときでも名人は文句も言わず、黙って自分でさっさと作業を進めていました。
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 枝を落としただけでも木はだいぶ軽くなります |
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これが私の仕事でした！簡単ですからね！
名人が倒した木の枝を小型のチェンソーで落としてゆきます。
最初大型のチェンソーを使ってみたのですが、直ぐに腕と肩が痛くなりとても長続きしそうもないので一番小さなチェンソーに替えました。
次の木が何処に倒れるかなども見ながら作業を進めました。
市場に出せそうもない太さ（だいたい直径15cm位）まで枝を落としておきます。
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 楔を打って咬まれるのを防ぐ方法もあります |
木の状態を良く見て上から切るか、下から切るか判断しないとチェンソーの刃を木に挟まれてしまいます。
そうなるともう抜けません。もう一台のチェンソーで切るか、他を切り落として掛っている力を除くかしかありません。
上から切る場合も下から切る場合も、最初に反対側にある程度切れ込みを入れておきます。木が裂けるのを防ぐためです。
この作業は時々やらせてもらいました。
一番上の行の左端は、「尺ダケ」と呼ぶ2mの木を用意して、材にする長さを計っているところです。「木どり」と呼ぶ作業です。3mの材にするのか、4mにするのか、6mにするのかはその木の曲がり具合と太さから判断します。
これを間違うと歩留まりが悪くなってしまいます。
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 細い道を巧みにパッカーを操って運び出します。 |
 「土場」と呼ぶ一時集材場所です。 |
 小型のユンボで積み直します。 |
玉切りした木をパッカーにウィンチを使って引き上げます。
最初に頭を引き上げて一旦下ろし、ワイヤーを木の重心付近に掛けて吊りあげパッカーの荷台に積み込みます。
この要領も実際に見て分かりました。
左の写真1番から12番までは太い材を斜面から引き上げて運搬車に乗せ、玉切りもしているところです。
技術と判断が求められる作業です。
スライドショーはこちらをクリックして下さい。
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名人がここは切り捨てで良いからお前がやれと言ってくれた檜を勿体ないので何とか出そうと頑張っています。
名人の技を実践してみるチャンスです！
一番下の沢際はさすがにどうしようもなく切り捨てました。
無理やり引き倒して上の道まで上げるのですがなかなか思うようには行きません。
1月5日に、掛った木にワイヤーを付け直そうと梯子を掛けている時に急斜面を転落して背骨を折ってしまいました。・・・・・（泣き）
現在（2013年1月17日）休止中です。
3か月の安静を申しつけられていますので・・・
再開は春になりそうです（；泣；）
背骨骨折の顛末はこちらをご覧ください！
1から5番の写真のスライドショーはこちら
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 短い台付ワイヤーを作っているところ |
 ウィンチで引く時に支点を下げる工夫 |
作業を円滑に進めるためには何事もそれに合うように工夫をする事が大事です。パッカーで重い木を引き上げる時に引くワイヤーの支点をなるべく下げてパッカーが転覆しないようにする工夫。
滑車や台付ワイヤーなど現場で必要なものが何時でもパッカーに有って使える工夫。
乗せた木を整える時に便利な鳶口をパッカーに乗せておく工夫など名人から盗んで使っています。
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間伐後の森は光が入って見るからに気持ち良さそうです。
これでまた灌木や広葉樹が増え、生き物達も喜ぶと思います。もっとも、あまり猪さんや鹿さんが喜ぶと困るのですが・・・・・
雪が降った後の森はとても神秘的で綺麗です。
意外とありそうで無いのがこういったデータです。自分の森を持ったり、「定年帰林」をお考えの方々にお役に立てばと思い敢えて公開することにしました。
順次明確になり次第アップします。今暫くお待ち下さい。
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